利益率8%の商売
web担当のi股です。
私は当初から古本業界にいたわけではなく、
30代半ばまでサラリーマンをしており、
ある事情で辞めた後、まずは古本屋以外の商売をスタートしています。
その当時手掛けた商売の中には
今でも名残があって毎月の収入があるものもありますが、
中には完全撤退に至ったものもあります。
本日は、その中の一つについて話をしてみたいと思います。
私は以前、カナダのメーカーからある防犯グッズを輸入して
東急ハンズに卸をしていました。
個人で行う輸入ビジネスと言えばネット通販が主流ですが
転売という行為に虚業感が感じられてならなかったため、
メーカーから直接仕入れて正規の日本のショップで売る、ということを
模索したのです。
東急ハンズと新規取引をするための手法など
ネット上には流れておりません。
少ない手がかりをもとに、全て自分の頭で考え模索して
大手小売店に商品を通すことができました。
(英文メールのコツも身に着けました。今は少し危ういですが…。)
その経験自体は大変私自身の身になったのですが
(おかげでおかしなビジネスセミナーを無駄に受けに行く必要がなくなりました。)
商売としては失敗で、1年ほどやった後、問屋に取引停止を打診しました。
そうした理由を挙げると、
1)日本の小売店は掛け率が高い。
問屋を通すと売上の56%を持っていかれる。
2)対して、外国の小売店は売上の30%程度を持っていく場合が多く、
それをそのままメーカーから日本に輸入すると、
その差で利益をかなり損なう。
3)東急ハンズは在庫を店頭分しか抱えず、補充の度に問屋に発注をする。
従って、個人が日本全国の支店と直接取引するのは難しい。
4)とは言え、問屋を通すと自分で売れ行きを把握することができなくなるため
どれだけの在庫をキープしておけばよいか見えなくなる。
5)「安ければ安いほどいい」というのが東急ハンズのバイヤーの考え。
新規取引に当たっては、問屋から「上代が高すぎる」とかなり絞られました。
こんなことはネット上には一切出回っていない情報だと思います。
実際に体験しなければ、商売としての良し悪しを判断できないでしょう。
問屋からはパッケージのデザインや形状についても強く注文を付けられましたし、
納期厳守が当たり前で、かなりストレス度の高い業界であることも分かりました。
結果、このビジネスは当初利益率を30%程度見込んでいたのが利益率8%程度まで落ち込んでしまいました。
東急ハンズに卸している日本のメーカーや輸入業者はたくさんありますが、
いったいどうやって儲けを出しているのか、今でも謎で仕方ありません。
ま、そんな過去の話はいいとしても
古物商という商いのなんと緩やかで、穏やかなことでしょうか。
もっとも、次回は古物ビジネスのシビアな面を書くかもしれませんけどね。
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